なぜオンライン移行に爆速対応できたのか?決まり手はkintone×Zoomにあった! サポーターズ、フルオンライン1on1面談イベントの裏側に迫る

TL; DR

  • オンライン移行 爆速対応の決まり手はkintone×Zoomにあった!

  • サポーターズの強みはツールの威力を活用するだけではなく"捨て続ける改善力"にある

  • 急変する市場変化に追従するために必要なものは「挑戦し続ける」こと

目次

フルオンラインで就活ができる時代が訪れている!!

新卒4年目(17卒)のエンジニア @ShuzoN です。
2019年2月から1年間サポーターズに所属しています。

僕が所属するサポーターズは新卒のエンジニア/ビジネス職の就活支援を行う企業です。

サポーターズ、延べ3,000人参加の全就活イベントをオンライン化し、学生と企業のマッチングを支援~セミナーや1on1面談など、3月実施の18イベント、参加社数200社をオンラインでマッチング~

今回はこのフルオンライン1on1面談イベントについて、設計および実装に現役エンジニアとしては1人で関与していた僕が裏側を紹介していきます。

ビジネス要件も含みながら、実際にどのようなシステムが動いているのかについてお話ししていきます。

サポーターズと新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の関係

これまで、サポーターズでは学生と企業が1on1で面談を行うマッチングイベントやセミナーイベントなど、 実際に人を集めたイベント を開き就職活動のサポートを行ってきました。

ところが...

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について

2019年12月中旬から流行しているCOVID-19の影響を受け、国内のカンファレンスやイベントが相次いで中止。

クライアント企業が軒並み在宅勤務 となりました。 弊社VOYAGE GROUPも在宅勤務に移行。

当然、就活イベントもリアルイベントは行えません。

このため、今後のイベントを全てオンライン上で行う と意思決定。

僕がjoinした2019年2月からちょうど1年。

サポーターズが蓄積した オンライン上でイベントを行うノウハウ がここでフルに生かされることになりました。

そもそもサポーターズ1on1面談イベントとは

オンラインイベントの裏側に入る前に、まずは サポーターズ1on1面談イベントに関して概要を説明します。

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サポーターズでは学生と企業を1対1でつなげる「1on1面談イベント」を行っています。

おおざっぱに説明すると、1日で企業説明〜面談を一気にやっちゃう就活イベントです。

もう少し正確に言うと、イベントに参加する学生と企業が実際にサポーターズに来て1対1で面談する形式のマッチングイベント です。

大まかな流れは図に示した通りで、シンプルな流れです。

オンライン移行 爆速対応の決まり手はkintone×Zoomにあった!

この急速な時流変化に追従する 秘訣はkintone x Zoom の組み合わせ にありました。

kintone は、サイボウズ株式会社が開発するDBと協調するフォーム、ページ表示、メール送信までをクリックのみで作ることができるWebサービス です。

さながらGoogleスプレッドシートの強化版とでもいいましょうか。

Zoom は、Zoom Video Communicationsが開発する オンライン上でセミナーやミーティングを行うためのビデオチャットシステム です。

サポーターズでは 「kintone x Zoom」を組み合わせることで完全オンラインイベント を行っています。

Zoomでオンラインミーティングを用意し、kintoneでそのURLを学生と企業に共有します。

今回は「面談を実現するための仕組み」に限定して解説していきます。

大まかな流れは以下です。

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1. サポーターズがZoomのミーティング部屋を作る  
2. サポーターズがZoomで作成した面談URLをkintoneに登録する  
3. 学生と企業がkintone上で面談URLを参照  
4. この面談URLをもとにZoom上でオンライン面談を行う  

こうすることで データ共有から通話開始までオンラインで完結する仕組み が実現できます。

ミーティング部屋はZoom APIを利用し半自動的にスクリプトで作成しています。

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ZoomはAPIが非常にオープンで、UIで触れるものはほぼ全てAPI越しに設定可能です。

Zoomには 「同ホストが作成した複数の部屋で同時に通話できない」 という仕様があります。

同時刻に複数の通話が行われる際はホストとなるアカウントを分散して部屋作成を行う必要があります。

無邪気に1ホストアカウントで時間が重なる部屋を複数作ると通話が失敗します(事実、失敗しました)。

その仕様を反映したコア部分のコードはこちらです。実際に使われているRubyスクリプトの一部です。

  
  def fetch_Zoom_url(company, datetime, talent)  
  
    # 面談時間が重複し、ホストアカウントを使い切った場合はエラー  
    if datetime_duplicated?(datetime) && user_depleted?(datetime)  
      raise "日程が人と被ってる. この人のは自分でURL作ってな:#{datetime}:#{talent}:#{company}"  
    end  
  
    # 時間が重複しないホストアカウントの取得  
    user_id = room_host_user(datetime)   
  
    # Zoom apiを叩いて部屋の作成  
    response = make_room(user_id, datetime, company, talent)  
  
    # 200以外の何かしらがあったらエラーを返す  
    if response.code.to_i > 300  
      raise "code: #{response.code} | ZoomURLの発行(fetch)に失敗したよ: #{company}:#{talent}:#{datetime}"  
    end  
          
    # ミーティング時間の記録  
    store_mtg_datetime(datetime)  
  
    json = JSON.parse(response.body)  
    json["join_url"]  
  end  

このように簡単なスクリプトを書き、Zoomとkintoneでは実現できない溝を埋めてあげることで威力を最大限まで引き出すことができます。

※Zoomの利用規約内で利用しています。Zoom公式サポートに問い合わせしたところこの方法しかないとのことでした。

サポーターズの強みはツールの威力を活用するだけではなく"捨て続ける改善力"にある

サポーターズの強みはkintone x Zoomによるツールの活用力だけではありません。

強みは 良いものを求め捨て続ける改善力 にあります。

kintoneの良さは 「非エンジニアが作成できる & 成果物を捨てやすい」 ことです。

とはいえ、kintoneの正体はUIで簡単に作成できるリレーショナルデータベース です。

つまり テーブルの正規化を含むRDB設計力とビジネスに合わせた改善力の両方 を必要とされます。

2019年2月からの1年間で、現役エンジニアの僕と元エンジニアのビジネスマネージャを主軸に「改善体制」作りを行ってきました。

1年間に行われたスクラップ&ビルドは3回。

元々スプレッドシート運用だったものをkintoneで完全に置き換えツールもkintone関連ツールにまとめました。

改善内容について

1年間の改善、挑戦の中で生まれたものは以下です。

  • 1on1面談イベントをほぼkintoneアプリだけで完遂 (現在version3)

  • Google App Script(GAS)で動く面談組み合わせ作成スクリプトを開発

  • オンラインで行う企業セミナーの実施

  • オンラインで行う1on1面談の実施

  • 1on1面談を行うZoomミーティング作成スクリプトの開発

段階的に オンラインでの面談イベントノウハウ を蓄積してきました。

上記で僕はスクリプトの開発とkintone アプリの設計、作成まで直接的に関わっていました。

細かな設計に関しては割愛しますが、この1年でイベント運用にスプレッドシートをほぼ使わなくなるドラスティックな改善 を行いました。

改善前(2019年2月時点)

僕がサポーターズにjoinした直後の状況です。

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イベント運用中に見るべきスプレッドシートが多く(3-4枚)、使用するツールも複数にまたがっていました。

改善後(2019年4月時点)

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改善後はほとんどのスプレッドシートがkintoneに置きかわります。

上記のように 面談表作成以外は ほぼワンストップで kintoneを利用するオペレーションに変化 しました。

イベント中にサポーターズスタッフが見るべきシートは2枚まで減ります。(kintoneアプリ + 面談作成シート)

こちらに加えて、GAS上で動作する 面談組み合わせ作成ツールを開発し面談表作成を高速化。

Excelソルバーを使う方法 から GASで新たに実装する ことで面談作成時間を 7分から4秒にしました。

kintoneによるワンストップのオペレーションで学生、企業の回答データ取り込みも早くなり

改善前は20分以上かかっていた面談表作成の運用を2分まで短縮 しました。

新商材 オンライン上で行う企業セミナーの発明(2019年7月時点)

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改善だけではありません。オンラインを用いた新商材の開拓もこの時期から始まりました。

新商材の開発を兼ねて、 オンラインで行う企業セミナーの実施 を行なっていました。

Zoom上でセミナーを行うことができる Zoomビデオウェビナー を利用し、クライアント企業のセミナーをオンライン上で行いました。

この取り組みは評判が良く、現在はビジネス職のセミナーイベントとして主軸商材に。

ここで 「オンライン上で企業プレゼンを行うノウハウ」が蓄積しました。

オンライン上で行う1on1面談の実施

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セミナーだけでなく オンライン上での1on1面談もこの時期に試作 しています。

Zoom上でビデオチャットができる Zoom ミーティング を利用し、オンライン上で面談を行います。

同時期に Zoomでオンラインミーティングルームを作成する前述のスクリプトも開発。

ここで「オンライン上で1on1面談を行うノウハウ」が蓄積しました。

実は、この取り組みは人事さんにあまり受け入れられず、お蔵入りしていました。

新商材 フルオンライン1on1面談イベントの発明(2020年2月時点)

7月以降は 半年ごとにkintone資産を捨て運用をマイナーチェンジしてきました(現在version3)。

2020年2月になりCOVID-19の影響により、イベントがオンライン移行しました。

それに伴って 1on1面談イベントもフルオンラインに変貌。

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実は オンラインになってやるべきことは通常のイベント運用に Zoom運用 を足すこと でした。

本質的には 過去資産を組み合わせたことによる相乗効果が生んだ成果 だと思っています。

1年で積み立ててきたオンラインイベントのノウハウが結果的に全てが繋がって 「フルオンライン1on1面談イベントの実施」 ができています。

平時のイベント運用改善 + オンラインイベントへの挑戦を日常業務の中で取り組んできた からこそ成し得た「圧倒的スピード対応」だと思います。

急変する市場変化に追従するために必要なものは「挑戦し続ける」こと

急変する市場変化に追従するために必要なことは「挑戦し続けること」  

この1年間、サポーターズの面談イベントを支えるツールに携わった僕が肌に感じたことです。

この相乗効果を生むために必要なフローを3行にまとめました。

- 段階的に既存の仕組みを捨てて、新しい取り組みに挑戦する  
- 挑戦の中で評判が良かったもの、運用しやすかったものを取捨選択する  
- そこで得たノウハウを1つずつ組み合わせていくと、急激な変化にも耐えうる強い仕組みが生まれる  

大切なことはビジネスを止めない程度に 小さく失敗し続ける ことであり、それがそのまま 未来への準備につながります。

現状維持ではなく 準備 = 挑戦し続けること が 急変する市場変化に追従するために必要なものだと思います。